『雑談の一流、二流、三流』
著者:桐生 稔 出版:明日香出版社
なかなか人と会話するのは難しいですよね。コミュニケーションに自信がなく、いつも何を話したらいいのか迷ってしまうという方におすすめの本です。
ビジネスシーンがメインですが、プライベートにも活用できる内容となっています。雑談のはじめ方から、広げ方など、皆が行いがちな「二流・三流」の雑談を織り交ぜながら、一流の雑談方法がやマインドが具体的にわかりやすく紹介されています。
今回の本はこちら → 「雑談の一流、二流、三流」
一流の雑談とは
雑談って皆さんしていますか?
仕事では、プレゼンで本題に入る前の「はいり、雰囲気つかみ」のような感じでする雑談もあれば、身の回りに起こった出来事や世の中のニュースや話題に対し、たわいもない会話をしているかと思います。おそらく、日々、毎日何かしら雑談しているのではないでしょうか?
雑談=「雑:とりとめもない」「談:話」と書くのに、なぜ雑話じゃないのか。「談」は「言うに炎」と書きます。
つまり、話すことで関係性に火を灯していくことを意味している とこの本では述べられています。

確かに!とりとめのないことを会話することで、自分のことや考えを知ってもらえるとともに、相手のことも知る行為ですね。
私は、仕事におけるお客様との普段の会話も重要と考えていて、気を使っている面もあるから、この雑談力をぜひ学びたいです!
人の心を動かすのは「どんなことを伝えるか?」より「相手とどんな関係性にあるか?」
この本では、雑談の方法を、一流、二流、三流の違いに例えて表現されており、頭に入りやすいです。
例えば…雑談の最初の一言について

今日は暑いですね

そうですね、暑いですね…

今日は暑いですね。30℃を超えるようですよ

30℃ですか、どうりで暑いと思いました…

今日は暑いですね。30℃を超えるようですよ。
夏バテとか平気ですか?
この会話の違いは、相手が話題の中心になるようにしている点です。相手に質問することで、会話を続けさせる先手をとっています。
シンプルな方法かと思います。でもなかなかこれが普段できないんですよね。
そんな心構えや具体的方法をわかりやすく紹介してくれるので、無意識のうちにやっていたことや、初めて学ぶこともすんなり頭に入っていくことと思います。
雑談力を向上させる
7つのチャプターに分けて、雑談力を向上させる方法が示されています。
チャプター① 雑談のはじめ方
チャプター② 話の広げ方
チャプター③ 聞き方とリアクション
チャプター④ 雑談の盛り上げ方
チャプター⑤ 相手の懐に入る方法
チャプター⑥ 好印象の残し方
チャプター⑦ 雑談がうまい人の心構え
こういう手の本はよくある話しがほとんどですが、この本は違っています。各チャプターごとに、新たな発見がありました。説明に使われる「例え話」も非常にわかりやすいです。
様々な気づきを得ることが出来ますが、ここでは三点ほど紹介したいと思います。
①話題がないときの雑談の方法
あまり出くわしたくないシーンですが、必ず訪れます。シーンとする空間、お互いに何をしゃべろうか探っている状態、それがお互い雰囲気でわかる…気まずい空気、ありますよね。
著者の桐生さんは、以下を教えてくれました。
誰もが絶対に興味があるネタからはじめる
1:食べること 2:動くこと 3:働くこと 4:お金を使うこと 5:寝ること
なるほど!これならネタに困ることもなく、状況に応じて使い分けることも可能ですね。
②距離の縮め方
一般の話し方指南書には、相手との「共通点」を探すことと書かれています。ですが、共通点はなかなかないのが普通ですよね。育ってきた環境や趣味、興味も異なるなかで、かつまだ関係性が構築されておらず、そこまで親しい関係ではない場合はなおさらです。
人間は、共通点よりも相違点のほうが圧倒的に多い
一流は、相違点を探して距離を縮める
共通の話題よりも、相違点に着目して、相手に興味をもって面白がって聞くことによって、相手も喜んで会話をしてくれるはずです。
③会話をするときの姿勢
雑談は会話の中身よりも、安心して会話をすることができる空気が重要です。
私は仕事が忙しいとPC作業をしながら、部下の相談や会話に対し、「耳」のみで対応してしまうことがあります。これでは、相手は話しにくく、聞いてもらえていないと感じると思います。
では、顔は相手を向いているけど、体は横を向いていた場合はどうでしょうか。やはり相手は話しにくいと思います。ぞんざいに扱われている感じを受けてしまいます。
では、一流はどこに向けて話をしているのでしょうか
最も重要なのは腹
腹は、腹を見せる、腹を割って話す、腹黒い、など腹にちなんだ言葉がたくさんあります。
人間にとって極めて重要な部分です。その超重要な部分を相手に見せることによって、相手は安心します。敵意はないですよ、という合図になり、安心して会話が楽しめる空間をつくりだせるとのことです。
ごもっともだと思います。意識して相手に自分の「腹」を向けるようにします!
今まですいませんでした🙇
まとめ
何気ない雑談にも、一流の方法を実践することで、アウトプットが大きく変わるかもしれません。それは「人とのリアルなコミュニケーション」だからだと思います。仕事も人が関わり合い、成立していくものだと考えているからです。
私もよく仕事柄、お客様と会話をすることが多く、常にお客様にとって何がよいのか、何を求めているのか、誠実に対応することを心掛けています。
その結果、強い信頼関係を構築することができ、お互いがWIN-WINの関係となることで、ビジネスもうまくいくことが多いと感じています。
例えば、ひとつのプロジェクトが円滑に進んでいると、「次のプロジェクト話もあるのですが、一緒にどうですか?」や「このプロジェクト全体の拡販シナリオを一緒に考えませんか?」など、ありがたいことにお声をかけていただいています。
それらは、積み重ねたコミュニケーションの結果によって、相談できる安心な関係が成立しているからだと思います。
人間関係を豊かにする雑談力、それは言い換えると「人間力」でもあると考えます。
この本は、その「人間力」を学ぶことが出来る良書なので、ぜひ読んでみてください。
今回の本はこちら → 「雑談の一流、二流、三流」